俗世間の苦しみから解放され、完全な「さとり」を得て、仏となることを目的としています。現在仏教の宗派は、13宗に分かれ、宗派によってはさらにその分派もあります。またその他にもこの13宗に属さない独立宗派と独立寺院があります。
仏教の究極の目的は「仏になること」ですが、各宗派は「仏になる時期」「仏になる手段」「どの経典を中心に教えを説くか」に対する考え方の違いにより分かれています。
仏教は約2,500年前、インドの釈迦が創始し、インドから中国へ、中国から朝鮮半島を経て日本へ伝わりました。日本への伝来は、538年(552年説もある)とされていますが、それ以前に既に広まっていたとも考えられています。奈良時代になると、法相宗・三論宗・華厳宗・律宗・倶舎宗・成実宗が中国から伝来し栄えました。これを南都六宗といいます。このうち現在まで存続しているのは、法相宗・華厳宗・律宗の三宗です。
平安時代になると、最澄と空海という二人の傑出した僧が現れました。最澄は比叡山に天台宗を、空海は高野山に真言宗を開創し、これが日本人僧侶による初めての開宗となりました。
平安時代末期から鎌倉時代にかけて、"釈迦の仏法の利益が失われる『末法』の時代となる"という予言的な思想(末法思想)が広まり、その危機意識から多くの優れた僧侶が出現し、新宗派が誕生しました。良忍の融通念仏宗、法然の浄土宗、親鸞の浄土真宗、一遍の時宗の浄土系四宗は、阿弥陀仏を信心して死後、極楽浄土に生まれて悟りを得ようとしました。そして同じ危機意識から、「仏陀」への道を禅に求めた栄西と道元は中国に渡り、それぞれ臨済宗と曹洞宗を日本にもたらしました。これに対して、以上の浄土四宗と禅宗を批判して、法華経こそが仏経の真意を説くものだとして、日蓮が日蓮宗を開宗しました。こうして鎌倉時代には七宗派が開宗されたのです。
室町時代以降は、各宗派内部の分派はあったものの、宗派として新しく創始されたものはありません。ただ江戸時代初期に中国の僧・隠元が渡来し、黄檗宗の開祖となってきます。これは中国の臨済宗の系統の禅宗です。
系統 | 宗派 | 宗(開)祖 | 立宗年 | 本山 | 本尊 | 所依の経典 |
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奈良 仏教系 |
法相宗 | 道昭 | 660 | 薬師寺 興福寺 |
薬師如来 釈迦牟尼仏 |
六経十一論 |
華厳宗 | 良弁 | 740 | 東大寺 | 毘盧遮那仏 | 大方広華厳経 | |
律宗 | 鑑真 | 759 | 唐招提寺 | 毘盧遮那仏 | 四分律、 梵網経 |
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天台系 | 天台宗 | 最澄 (伝教大師) |
806 | 延暦寺 | 阿弥陀如来 (釈迦如来、薬師如来の場合もある) |
法華経 般若心経 大日経 浄土三部経 |
真言系 | 高野山 真言宗 |
空海 (弘法大師) |
816 | 金剛峰寺 | 大日如来 | 金剛頂経 大日経 理趣経 般若心経 |
真言宗 智山派 |
智積院 | |||||
真言宗 豊山派 |
長谷寺 | |||||
浄土系 | 融通念仏宗 | 良忍 | 1117 | 大念仏寺 | 阿弥陀如来 | 浄土三部経 {
無量寿経
観無量寿経 阿弥陀経 }
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浄土宗 | 法然 | 1175 | 知恩院 | |||
真宗 本願寺派 |
親鸞 (1224) |
1594 | 西本願寺 | |||
真宗 大谷派 |
1602 | 東本願寺 | ||||
時宗 | 一遍 | 1276 | 清浄光寺 | |||
禅系 | 臨済宗 | 栄西 | 1202 | 建仁寺 | 釈迦牟尼仏 | 般若心経 観音経 等 |
曹洞宗 | 道元 | 1227 | 永平寺 総持寺 |
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黄檗宗 | 隠元 | 1654 | 萬福寺 | |||
日蓮系 | 日蓮宗 | 日蓮 | 1253 | 久遠寺 | 十界互具 曼茶羅 |
法華経 |
※南都六宗(三論、成実(じょうじつ)、法相(ほっそう)、倶舎(くしゃ)、律、華厳各宗)〈信仰上の差異による分立でなく、学問的研究の対象による別〉