霊園・仏事の知っ得コラム

長江曜子連載

あなたの入れるお墓は、大丈夫!―お墓は、大切な相続財産です―

2010年04月30日

 お墓は、管理メンテナンスが求められる、永続性の伴う祭祀施設です。相続できる祭祀財産は、仏壇(仏具も含む)とお墓です。これは、旧民法下のものが現在にも生き続けているのです。現在の民法では、核家族であれば、夫が死亡後遺言を残さなくても、1/2は妻に、そして半分は子供の数で平等に分割相続されます。しかし、仏壇やお墓を分割相続できません。だれか一人を、祭祀主祭者として指定しなくてはなりません。複数の共同名義には出来ません。勿論、旧民法下の長男絶対主義の時代ではありません。遺言、話し合いで決定できない時には、家庭裁判所の決定ということもあるのです。

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 こんな事例があります。父母が死亡し、お墓の永代使用料と建墓工事代(墓石代を含む)を、兄弟で負担して、墓石にも三兄弟の連名で建立者を刻みました。墓地の使用許可証には、長男の名前のみしか記載出来ないので、そうしました。その長男は、50代で若くしてなくなりました。お墓は、長男の嫁の名義となりました。次男、三男は、父母と兄と仲良く一緒にお墓に入れるものと思っていました。しかし、長男の嫁には、子供がいても未婚で孫もいないのです。先行き不安で永代供養墓への改葬(お墓の引越し)を希望し、あっという間に引越しがなされました。次男、三男は、どうする事も出来ませんでした。父母の遺骨を分骨することが精一杯という状態です。

 今、全国でお墓の改葬(引越し)がさかんです。お墓が、家(イエ)のものから、核家族のものに変化して来ています。家族間のコミュニケーションが成されていないと、代変わり後に知らない内に、自分が入ろうとしているお墓がなくなっているともかぎりません。

 この春、故郷に残して来たお墓に、関心をもってみてはいかがでしょうか。平成11年の厚生省令改正後、無縁墓改葬が簡略化されて日本のお墓が「動いています」ご注意を!

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長江 曜子(日本初のお墓プランナー)

死にまつわるデス・ケアサービスの葬送アドバイザー
聖徳大学教授博士(学術)
世界45カ国を旅し、お墓の比較研究をし、アメリカのお墓大学を卒業。墓石・霊園行政研究、文化人類学的視点で比較研究すると共に、個人のお墓から霊園設計・納骨堂設計等ライフプランニングのアドバザー(コーディネーター)を務める。
 また、大学においては、生涯教育(SOA)人気シリーズ「食の松戸物語」のコーディネーターを務めるとともに、寮の食事改善策を地域食材導入の試みをしている。

長江 曜子