~祈りのかたち「合掌(がっしょう)」のこと
私達は仏壇に向かって祈るとき、またお寺やお墓でお参りをするときに、両の手のひらを合わせて目を閉じ祈りますが、どうしてこのようなこと~「合掌」を行うのでしょうか。
今回はその「合掌」について少しお話しします。
仏教における礼拝の作法としての合掌は、古代インドの礼法から始まり今に伝わっています。
合掌には十二の形(一二合掌)があるといいますが、私達が参拝する時には次の三つの形のいずれかで宜しいと思います。
・堅実心合掌~手を堅く合わせる。
・虚心合掌~指はまっすぐ、掌の間に少し空間をつくる。
・蓮華合掌~掌の間をさらにふくらませて蓮華の花の形にする。
また宗派によっても異なり、例えば真言宗では合掌した両手の指先を一つ一つ交差する「帰命合掌」の形などもあります。
そして、私たちが様々な供養の場面でこうした「合掌」を行うことの意味は、
「右ほとけ、左われぞと合わす手の~」とも云われるように、仏の心と私たちの心が、この「合掌」をとおして固く結びあうことができると考えられているからです。
ただ、日本に仏教が伝わる何千年も前から~縄文時代にも、人々は手のひらを合わせ祈ってきました。
例えば、青森県で縄文遺跡から出土した「合掌土偶(がっしょうどぐう)」は、両の手のひらを顔の前で合わせて、祈るような形をしています。
思えば私たちは現在でも、何かを願うときや誰かに感謝するときに、両の手のひらを合わせている事がありますね。
合掌とは、願いや感謝や祈りの場面などで、自然に生まれる形なのかも知れません。