現代の迎え火の考え方
ご先祖様を供養する日本の大切な伝統行事であるお盆。
お盆は「仏教の「盂蘭盆会(うらぼんえ)」からきていると言われ、ご先祖さまの霊があの世から戻り、自宅で迎え供養し、また天に帰っていくという日本古来の信仰と、仏教の行事が結びついたものだと言われています。
迎え火を焚くのは、ご先祖様の霊があの世から戻ってくる際に道に迷わないよう目印とするため。昔から庭先や玄関先で「苧殻(おがら)」に火をつけ目印としていました。
しかし現代の住宅事情もあり「苧殻」に火をつけて迎えることが難しい方は多くいらっしゃいます。もし苧殻を焚けなかったら、ご先祖様は帰ってこられないのか。
考え方は人それぞれですが、私は苧殻が焚けなかったからといってご先祖様がお怒りになったり、帰ってこられないということはないと思います。
実際、今年のお盆の入りである8月13日は東日本太平洋側にかけて台風が接近していました。もしもドットネットへもお客様から「台風が来るが、それでも焚いたほうがいいのか」とお問合せを多くいただきました。ご先祖様を想う気持ちでご心配になられたのでしょう。
ですが、もし台風の中、無理に苧殻を焚いて、ご自身や家族、またご近所の方に何かあっては、きっとご先祖様は悲しまれるはずです。
無理をなさらず、出来る範囲のことをされるのがよろしいと思います。
例えば、迎え火・送り火の代わりに盆提灯の利用する方法もありますし、最近では「迎え火・送り火ローソク」というものも販売されています。例えば、仏壇がない、盆棚を準備できない。でも目印を用意してお迎えしたいという方には最適ではないでしょうか。どちらも屋内で使用しますので、今回のように台風などの気候に左右されることはありません。
伝統を重んじることも大切ではありますが、何より大切なことはご先祖様を供養する気持ち。苧殻を焚かなくてもご先祖や故人を偲ぶ気持ちを表すことはできるのです。
今年、浦安にある室内納骨堂「月の廟庭」ではメッセージを書いた紙でローソクを包み、灯りを灯す、キャンドルナイトが開催されたそうです。
ご先祖様、故人への想いを綴り、灯りを灯す。とても素敵なイベントですね。きっとご先祖様もお喜びになったことでしょう。