お墓に水をかけてはいけないの?
先日、このようなお問合せをいただきました。
「お墓参りの際、お墓に水をかけるのが当たり前だと思っていたが、知人から『お墓に水をかけるのは失礼なことなのよ』と聞いた。本当ですか?」
確かにお墓参りと言えば、お墓の周りの雑草を取り除き、前回御供えした花や線香の片づけを行い綺麗にした後「お墓に水をかける」という方は多いのではないでしょうか。
ではなぜ「お墓に水をかけてはいけない」とその知人の方はおっしゃったのか。
実は、昔からお墓に水をかけるのが当たり前であるという考え方と、かけないのが当たり前であるという考え方と二通りの考え方が存在しているのです。
■水をかけない理由
お墓はご先祖様のいる場所。いうならば「ご先祖様の頭から冷たい水をかけるなんて失礼な!」という考え方です。また水をかけることで墓石を傷めてしまうからいう理由もあるようです。その為、濡れたタオルなどで拭いて差し上げるという方もいます。
■水をかける理由
仏様になっても喉が渇いてしまうので、水をかけ渇きを癒して差し上げる。またお墓にご先祖さまの魂をお呼びするために水をかけるという考え方もあります。
もう少し宗教的な話をすると、仏教の世界ではでは亡くなると「天上界」「人間界」「修羅界」「畜生界」「餓鬼界」「地獄界」の世界を輪廻すると言われています。万が一、ご先祖さまが「餓鬼界」にいる場合、そこには食べ物も水もありませんから、渇きで苦しんでいらっしゃいます。そんなご先祖様を助けるために水をかけて差し上げるという習慣が生れたのです。
どちらの考え方もご先祖さまを思ってのことですから間違いではありません。
ご自身のお考え、ご家族のお考えでお決めになられてよろしいと思います。
最後に1つだけ注意点を。
故人がどんなにお好きだったとしてもお酒やジュースなど水以外をお墓にかけることは、墓石を傷める可能性があるのでお控えください。
お好きだった飲み物は御供えしたのち、お下がりをいただくことでご供養になりますので、そのようにされることをお勧めいたします。