まつり・祭り・祀り?
3月というとそろそろ桜の花がほころび出し、全国で「桜祭り」が開かれます。
お祭りといえば、たくさんの露店が出て、活気に満ちたイメージですが、そもそも「まつり」というのは何をするものなのでしょうか。
日本では太古よりさまざまな神々を祀ってきました。その精神・行事を『祭祀』といいます。
祭祀の例としては五穀豊穣を祈る新嘗祭(にいなめさい)や神嘗祭(かんなめさい)・祇園祭などに代表される各地のお祭り、神葬祭(しんそうさい・神式のお葬式)などがあります。
現在では宗教への関心の薄れなどから祭祀に伴う華やかな行事の部分が「祭」として認識されることが多くなり、祭祀とはまったく関係のない、にぎやかな催事やイベントを「祭」と称することもあります。
そのため「祭」の文字はポジティブなイメージがあるかと思います。
では、その文字に込められた意味を見てみましょう。
「祀り」という言葉は、本来神様を祀ること、またはその儀式を指すもので、個人がそういった儀式に参加することも「祀り」であり、現在でも地鎮祭や祈願祭などのまつりがそれにあたります。
「祭り」という文字は、命、魂を慰めるもの(慰霊)とされ、漢字本来の意味においては「葬儀」のことを差します。
お墓や仏壇のことを祭祀財産といいます。
祭祀財産は先祖への祭りのために使用されるものとし、祭祀を主宰すべき人が継承するとされています。
そして、「祭祀の主宰者」は葬儀や法要を主として行なう人のことをいいます。
ネガティブなイメージのある仏事に「祭」の文字を使うことに違和感を覚える方もいるかもしれませんが、言葉の意味を知れば納得の一言です。
昨年は日本中の様々なお祭りが中止になりましたが、今年は本来の意味に立ち返り、全国で様々な祭祀が開催されることを願うばかりです。