お盆といえば、「盆提灯」ですね。
この記事は2022/06/16に更新しています
元々「提灯」は、中国より仏教用品として伝わった物です。
その為当初は、寺院や貴族・武士だけのための特別な物でした。
それが庶民に広まったのは、江戸時代になってからです。
そして仏事の提灯(灯籠)から、生活用品の提灯としても発達していきました。
照明器具としての提灯のおかげで、当時の暮らしはとても便利になった事でしょう。
その後明治になり西洋からランプやガス灯がもたらされ、暮らしの中の提灯は少しずつ減り、電気と電球の普及によって、ランプと共に提灯は生活の場から消えていきました。
しかし現代でも、お盆飾りや盆踊りそして全国のお祭り等で提灯は欠かせない物としてしっかり残っています。
古代に仏教と共に伝わり日本の津々浦々に広まった提灯が、今でも仏事や神事の場面で大切なものとして残っている事に、私は驚きを感じます。
子供の頃お盆に祖父母の家に行くといつも盆提灯が灯されていて、絵柄がクルクルと回っていました。そして「一年ぶりに家に帰ってこられたご先祖に、故郷の景色や花をみせてあげるのだよ。」と祖父に言われた事を覚えています。
盆提灯は、迎え火送り火として、またご先祖様や故人への供養の為に灯されるとも言われますが、どれも正しいのでしょう。
盆提灯の灯りは(たとえ今は蝋燭でなく電気を使っていても)、どこか現世ではない、幽玄な世界を感じさせてくれるので、お盆に帰って来られたご先祖や故人をより身近に想えるのかも知れません。
また、最近の仏壇店では、とてもモダンで普段の灯りとして楽しめる様な提灯もあります。
この夏は近くのお店をちょっと覗いてみてはいかがでしょうか。