移葬で幸運を!―韓国のお墓事情
現代日本では、お墓の引越し"改葬"が、大問題です。戦後、長男までが首都圏や阪神圏に、進学や就職で移動しました。そこで、結婚、家族を作り、田舎の年老いた両親がなくなると、「お墓の引越し」がにわかに身近な解決しなくてはならない大問題となるのです。どちらかと言えば、お墓の重荷が先立つ問題でもあります。
それに引き換え、お隣りの国である韓国では、事情が違います。儒教の影響の強い韓国では、家が栄える、出世する、幸運がやって来るために、お墓を活用しています。風水師によって、お墓を建てる場所を選び「移葬」するのです。戦後の都市化という背景が同じでも、中味はいささか違っています。
実は、ノーベル平和賞を受賞した、韓国民主化の大統領金大中氏は、「祖父のお墓を移葬してから大統領になった。」という事が、良く知られている事なのです。年長者は、この風水地理を信じている人が多いです。
2009年2月3日の朝鮮日報の記事には、「不況に...閏(うるう)月...移葬ブーム」というものが掲載されました。陰暦の閏月(4年に1回やって来ます。)5月(陽暦6月23日~7月21日)があるため、2009年1月29日午後、京畿道九岩山の民間霊園の移葬業者に、20余人がやって来て混み合ったとの事なのです。閏月は、"おまけの月だから何をやってもたたらない。"として、移葬や引越し等が、大盛況なのです。"おまけの月"とは、4年に1度1年が13ヶ月になることです。「息子の就職が、成就しますように」とか、「会社や家族の繁栄」、「お金持ちになれますように」という願いを、「移葬」という一大事業を苦と考えずに、積極的に前向きに考えているのです。3000基や4000基の霊園に、約1割のお墓が「移葬」されるとの事でした。
韓国は、2000年に葬事に関する法律を全面改正、2007年に改正をし、伝統的な土葬から火葬への大改革を実施しています。その事情を、上手く活用している例でしょう。お墓で幸運を招く例ですね。